
2025年2月21日にリリースされたONE OK ROCKの最新アルバム『DETOX』。その中でも一際異彩を放ち、多くのファンの心を揺さぶった楽曲が「Tropical Therapy」です。この楽曲は、単なる失恋ソングに留まらず、現代社会への強いメッセージやバンドの新境地を示す重要な一曲と言えるでしょう。
楽曲の背景とサウンド:新境地を開くポップ志向
「Tropical Therapy」は、軽快なリズムとキャッチーなメロディーが特徴的であり、一聴するとポップな印象を受けます。しかし、その裏では重厚な楽器の音が鳴り響き、これまでのONE OK ROCKのサウンドとは一線を画しています。特に、過去の作品でいうと『Eye of the Storm』のようなポップ志向とは異なるアプローチが取られており、より洗練されたサウンドに仕上がっています。
一部のファンからは、過去の楽曲「letting go」や「one way ticket」のようなメロディアスな曲調に通じるものを感じたという声も上がっており、新しさの中に懐かしさを感じさせる、絶妙なバランスを持った楽曲と言えるでしょう。
歌詞に込められた二重のメッセージ
この楽曲の最大の魅力は、その多層的な歌詞にあります。複数のレビューやファンの考察から、主に以下の二つのメッセージが読み取れます。
- 失恋と葛藤: 歌詞の直接的な意味合いとして、愛する人との別れを受け入れられず、「さよなら」が言えない苦悩が描かれています。熱帯の楽園で「治療(therapy)」を求めるように、この痛みを癒したいと願う切ない気持ちが表現されています。
- ”I need a get get get get getaway”
- ”Get out of this mess I made”
- ”Set me free, Tropical therapy”
- 社会への警鐘と希望: アルバム『DETOX』全体のテーマである「解毒」を象徴するように、この楽曲には社会的なメッセージも込められていると考えられます。
- ”Find euphoria in dystopia” (ディストピアにも幸福を見つけよう)
- ”Puppets can’t control you” (人形に君は操れない)
Takaの歌唱力と表現力
この楽曲は、Takaの圧倒的な歌唱力が存分に発揮された一曲でもあります。過去に『Eye of the Storm』制作時には、納得のいく歌唱ができなかった曲が、今回のアルバムでようやく歌い上げることができたというエピソードもあり、Taka自身のボーカリストとしての成長を強く感じさせます。
「悲しみを歌いながらも力強い希望を見出す」という相反する感情を、Takaは巧みに表現しています。ファンのリアクション動画でも、感情的に歌い上げるTakaの姿に心を動かされ、涙を流す人も多く、楽曲の持つメッセージ性をより深くリスナーに届けています。
まとめ:進化し続けるバンドの姿勢
「Tropical Therapy」は、ONE OK ROCKが常に新しい音楽性を追求し、進化を続けていることを証明する一曲です。軽快なサウンドの中に、個人的な感情と社会的なメッセージという二重のテーマを込め、Takaの魂の叫びともいえる歌唱力で表現しています。この楽曲は、今後のONE OK ROCKの音楽性の方向性を示す、非常に重要な楽曲として位置づけられるでしょう。